奥の方からパタパタと駆けてくる足音に、私はくるりと振り向いた。

……あれ?

奥の方からさっきの女の子と一緒に出てきたのは、制服姿の3年生。

その人は申し訳なさそうに眉根を寄せながら、顔の前で手を合わせた。

「本当に申し訳ないんだけど、もうこの寮空きが無いんだよね」

「えっ……」

空きがないって……嘘でしょ?

さっきの2年生の子も申し訳なさそうに俯いている。

一番大きい女子寮なのに、もう埋まっちゃってるの?

「そっ、か……ありがとう」

私は頑張って笑顔を取り繕って頭を下げた。

部屋が埋まってるなら仕方がない。

それに、元はと言えば動きが遅かった私が悪いんだし……。