怒った声はあまり聞き慣れないが、間違いなく父さんの声だった。

「お前達は男だろ? 簡単に頭を下げるんじゃない。この程度のことで……安く見られるぞ」

……まさか、父さんが怒ってるのって──────────

一瞬にして涼たちの顔が脳裏に浮かんだ。

その後も溢れる気持ちのまま怒鳴り散らす父さん。

羅桜高校に入学する時の話まで持ち出して、挙句の果てには涼たちを貶すような言葉まで言い放っていた。

それはあまりにも辛辣で。

……聞いてられない──────────

俺の中でふつふつと静かに湧いている怒り。

俺はギュッと拳を握りしめてそれを抑え込む。

冷静になれ……怒りに任せても父さんとまともに話すことはできない。