お願い、間に合って……!!

私は一縷(いちる)の望みを込めてギュッと両手を握った。

* * *

式典だと聞いて、一応ちゃんとした清潔感のある上品な服に着替えた。

こんなキレイないい服を着てるのに、心は晴れないまま。

広間に向かう足取りはとても重い。

……ってゆうか──────────

「道わかんない……」

ボーッと歩いていただけに、途中から朝通った道と違う景色になってきて……。

気が遠くなりそう。

方向音痴ってほんとに損なものだとつくづく思い知らされる。

このまま式典に出なかったら、二人の悲しげな顔を見なくて済むのかな……なんて。

あぁ、気が向かない……。