「沙知、美央ちゃんとホテル戻ったって。だから大丈夫だよ」

「……あぁ、そうか」


 彼女の傷ついた顔が離れない。どうしてあんなことを言ってしまったんだ……


「さっきのはお前が悪い。あんなこと言われたら誰だって傷つく」

「……っ……」

「哉斗に言われたことも大きいと思うぞ……大切な人に自分のコンプレックスのことを言われたんだから」



“ 第一、聞こえないのにどうするんだ”


 そんな言葉を言ってしまったことに自分にショックを受けていた。


「謝るんだな。それに、外で可愛いとか言わない。そういうのは中でやって」

「……あぁ」

「そうと決まれば、ご機嫌取りで何か買って行こう」


 海斗は「俺も沙知に買ってこー」と言っていてスマホを操作し始めた。それから海斗に連れられて伏見駅まで行った。

 地元で話題になっているらしい缶ケーキというものを買ってから、一足早くホテルへ戻った。