3年前。透也を突然亡くした私は、心も体も傷付いてぼろぼろだった。

葬儀が終わった直後は家族や友人が私を気にかけてこまめに連絡をくれたけれど、強がって気丈にふるまう私の態度が「思っていたよりも大丈夫かも」と周囲を安心させたらしい。

透也が亡くなって2週間も過ぎれば、家族や友人たちからの連絡は徐々に減っていった。

食べ物の味がよくわからなくなり始めたのは、それからだ。

何を食べてもおいしくないし、ゴムを食べているみたいな感覚がする。お酒を飲んでもジュースを飲んでも水を飲んでも同じ味。甘くもしょっぱくも酸っぱくもない。

だんだんと味のしないものを1日3回も食べている意味がわからなくなってきて、私の食事の量は一気に減った。あまり食べていなくても、不思議とお腹は空かなかった。

それと同時に、夜もあまり眠れなくなった。

食事の味がしないことにはそれほど苦痛は感じなかったけれど、眠れないことはひどく堪えた。

夜中に真っ暗な部屋で一人でいると、どうしても透也のことばかり考えてしまうから。