「透也、また――」

強引なキスで私の言葉を飲み込んでしまう一貴さん。その正体が透也だということは、彼の態度ですぐにわかる。


「とー、や……。ダメだ、て――」

キスの合間に言葉を挟もうとしても、私の身体を壁に縫いとめた彼は、私が何か話そうとする度にその全てをキスで遮る。

こうなってしまうと、私がどれだけ抵抗しようと無駄だった。

おとなしく目を閉じると、彼が熱く蕩けるようなキスで私の頭と身体を麻痺させていく。

自力で立っているのがつらくなって、ずるりと崩れ落ちそうになると、片手で私の腰を支えた彼がようやくキスをとめてくれた。


「ベッドで続きする?」

掠れた声が、思考の鈍った私の耳元で甘く誘惑してくる。

つい頷いてしまいそうになったけれど、抱き支えてくれている人の顔が一貴さんであることを思い出して、慌てて首を横に振った。


「ダメ……。これは、一貴さんの身体だから」

「今さら? こいつの身体に入ったおれに、何度も抱かれてんのに?」

一貴さんの胸を押し退けて離れようとすると、彼のなかにいる透也が不機嫌そうに私の肩をぐいっと抱き寄せた。


「でも、やっぱりダメだよ……」

一貴さんの身体に入って一度私のことを抱いた透也は、その後も事あるごとに一貴さんの身体に憑くようになった。

一貴さんが私にキスしたり、触れようとすると、気付けばどこかのタイミングで彼が透也と入れ替わっている。