ひとりで家に帰ってきたあたしはすぐに部屋着に着替えて、制服は洗濯機に押し込んだ。


こんなことをしたらイジメの証拠がなくなってしまうとわかっているけれど、いつまでもイジメの痕跡を見ていることは自分が耐えられなかった。


《ナナ:美緒、大丈夫?》


それからも美緒のことが気になってメッセージを送ったが、なかなか既読はつかなかった。


夕食を食べているときも、お風呂に入っているときも美緒があの3人になにをされたのか気が気ではなかった。


もし美緒があの3人になにかしらの弱みを握られていたとしたら?


そう考えただけで全身の血液は凍り付いてしまう。


今でもひどいイジメに遭っているというのに、今以上に抵抗できなくなってしまうかもしれないのだ。


それに美緒にとっての弱みはきっとあたしにとっての弱みにもなる。


あたしと美緒はそれくらい一身胴体で生きているから。


寝る前にもう1度スマホを確認したけれど、やっぱり美緒へのメッセージは既読がついていなかった。


電話をしてみようかとも思ったが、出てくれない可能性のほうが高い。


体育館倉庫であたしと目を合わせなかった美緒の姿を思い出すと、また胸が痛んだ。