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 そして、国交正常化記念祝賀会の日。

 まるでオペラホールかと見まごうように広い部屋には、至る所に精緻な彫刻が施されている。床には細かな文様が織り込まれた絨毯、壁には美しい絵画が描かれ、白い柱の上にも彫像があった。

 壁際の花瓶台の上には大きな陶器製の花瓶が置かれ、そこには美しく花が生けられている。

 それらを幻想的に照らし出すのは、大きく首を曲げて見上げる程に高い天井からつり下がる豪奢なシャンデリアだ。

(本当に、昔物語で見たまんまだわ)

 まるで夢の中のような、豪華絢爛な世界。
 ミレイナは初めての光景に、ただただ辺りを呆けたように見回す。

 参加者達は皆一様に笑顔を浮かべており、女性は美しいドレスに煌びやかな装飾品を、男性も袖口や襟元に精緻な刺繍が施された洗練されたフロックコートを着ている。

(私、やっぱり場違いなんじゃ……)

 今さらながらに、自分の場違い感が恐れ多くなってくる。