「さあ、行こう」

 ジェラールはミレイナの手を優しく取る。

「はい」

 ミレイナは立ち上がると背筋を伸ばす。
 ジェラールの隣に立って恥ずかしくないように、ミレイナは今も毎日のように王妃教育を受けている。今日はその成果を披露する日だ。

 繊細な彫刻が施された大扉が開かれる。
 天井からつり下がる豪奢なシャンデリアの眩しさに、ミレイナは目を細めた。

「おめでとうございます」
「本当に喜ばしいことです」

 一歩足を進める毎に、周囲の人々から祝福を言葉が贈られる。ミレイナはジェラールと共に、玉座へと進む。

「ミレイナ様」

 聞き覚えのある声がしてミレイナは振り返る。

「クレア様! それに、リック殿下とアダムも」