黒の開襟シャツを着た新くんが、自転車のサドルに跨って私を待っていたのを見た瞬間、ああ、もうだめかもしれないな、そう思っていた。


新くんがなぜここにいるのか、すぐに分かってしまったから。





「今日はスーパーには行かないので!」


そんな言葉でごまかそうとしたけど、もう逃れられない予感のなかにいて、だから、


「おまえ後ろで道案内しろよ」


そう言った新くんに手を差しだされた時、その手を振りはらいたい衝動にかられていた。


こんな気持ちは、認めたくない。


だけど振りはらうなんてそんなことできるわけもなくて、私は新くんの後ろに乗って、新くんのシャツを握っていた。


夏の日差しの下、風が新くんのあまい匂いを流す。



新くんは私を荷台に乗せて、去年も一昨年も、1人で行った霊園に連れていった。