「千紗、また告白されたんだってぇ? 今度は3年生の先輩に!」


雅高校、2年B組の教室内。


朝の挨拶をすっ飛ばしてそ声をかけてきたのは友人の智恵理(チエリ)。


母親が日本人で父親がアメリカ人というハーフの智恵理は透き通るような肌を持っていて、目の色も青っぽく、ハッキリとした目鼻立ちをしている。


幼少期はこのせいでイジメられることもあったらしいけれど、今では立派な美少女だ。


「いいなぁ。なんで千紗ばっかり?」


不満を漏らしたのは岩吉栞(イワヨシ シオリ)だ。


栞は腰まである黒髪をひとつにまとめていて、日本人形のように美しい子だ。


あたしはため息混じりに、文句なしで美少女認定を受けている2人へ視線を向けた。


「自分たちだって散々告白されてるでしょう?」


「いい男から告白されなきゃ意味がないのよ」


智恵理が腕組みをして言い切った。


「そうそう。3年生の先輩なんて、学校で1位2位を争う秀才の上、かっこいいじゃん」


栞も隣でふくれっつらを浮かべている。


たしかに、あたしに告白してきた先輩はカッコイイと噂になっていた。


見た目は悪くないかなぁと、自分でも思っていた。


「でも、彼氏いるし」


あたしが言うと2人は同時に盛大なため息を吐き出した。