月日というものはとても残酷で、どれだけ苦しくても明日は来るしゆっくりだが着実に進んでいく。


「冬休みだからといって、気を抜いて勉強を怠らないように────」


つい最近まではオレンジ色に染っていた校庭の木々はすっかり抜け落ちて、色褪せた景色が広がっている。

ぶぶ、とマナーモードにしていたスマホが震えて、机の下でこっそり確認する。


4つ隣の席の郁ちゃんからだった。


『担任話長すぎ〜。お腹すいたから帰りにモック寄ってこ!』


うんざりした顔のゴリラのスタンプが続けざまに送られてくる。

思わず小さく吹き出してしまい担任の先生と目が合った。慌ててポッケにしまって、素知らぬ顔で窓の外を眺める。


おほん、と咳払いした担任にほっと息を吐いて、くすくす笑っている郁ちゃんに向かって小さく丸を作って見せた。