旅行から帰ってきて数日経ったある日。
「うーん……」
リビングのソファーに腰掛けた私は、誕生日に貰った夜空の瞳をしたくまのぬいぐるみをお腹で抱え、反対の手には1枚のプリントを持ち首を捻っていた。
その隣にはお兄ちゃんが座っている。
「ねえ真佳本当にいいの?聞いてる?本当にいいの?」
「もー、真守しつこい。ちゃんと聞いてるよぉ。ひと思いにやっちゃって!」
「本当に?」
珍しくオロオロしたお兄ちゃんは何度も何度もそう訪ねてくる。
いくよ、とやっと心を決めたお兄ちゃんの手には、ピアスの穴を開けるピアッサーが握られていた。
なぜ突然ピアスホールを開けたくなったのかというと、誕生にお兄ちゃんからもらったプレゼントに関係している。