旅行二日目は、お昼の少し前にやっと目が覚めた。

結局昨日は別荘に帰ってきてからも恋バナに花が咲いてずっと郁ちゃんとお喋りしていたせいで、眠ったのは夜中の三時頃だった。

ふわぁと欠伸をこぼして、まだ眠っている郁ちゃんを起こさないようにベッドをぬけだた。


階段をおりてキッチンへ顔を出すと、五十代くらいのエプロン姿の女の人が忙しなく働いていた。

私に気がつくと、「あら、もしかして真佳ちゃん!?」と私に駆け寄ってくる。


「あらヤダこんなに大きくなって!まあまあまあ、可愛らしいお嬢さんになっちゃって〜。今いくつ?真守くんとは二歳差だったから16歳?高校一年生よね?」


突然始まった息つくまもないマシンガントークにおろおろと目を回す。

すると背後から「こらタエ子。はしゃぎ過ぎだ」とたしなめる男の人の声が聞こえた。

振り向くと、作業着に麦わら帽子で首からタオルをかけた五十代くらいの男性が険しい顔で私たちを見ていた。