本格的に夏休みが始まった。
私はと言うと郁ちゃんとお買い物にでかけたり、お兄ちゃんと家でゴロゴロしたり、ホラー映画をみたり、と充実した夏休みを過ごしていた。
ブランチに用意していたかぼちゃスープがいい具合に仕上がったところで時計を見上げる。
時計は10時を示していた。
朝が苦手なお兄ちゃんはいつも休みの日はお昼近くまで眠り続ける。
だから私もそれに合わせて、一緒にブランチを食べることにしている。
ベーコンエッグをのせたトーストに、昨日の残りのジャーマンポテトとサラダを添えたプレートを並べて、「よし!」と呟く。
エプロンで手を拭きながら、お兄ちゃんの部屋へ向かった。
ノックをしても起きないのは分かっているけれど、念の為に軽くドアを叩く。
けれどやっぱり反応はなくて、そっとドアを開けた。
「お兄ちゃーん……?もう10時だよ、起きて」
とんとん、と肩を叩けば潜り込んだ布団から「うーん」としゃがれた返事が帰ってくる。