暗暦129年。人と魔族が争う世界、アーク・ゴルドは大きな転機を迎えていた。

 世界の半分、魔族たちが住む魔界を治めるのは、魔王アリギュラ。129年前、雑然としていた魔族の世界に彗星ごとく現れ、統一した魔族の王だ。苛烈にして無慈悲なる彼女の下、魔族軍は急速に力をつけ、人間界は滅亡の淵に立たされた。

 そんな折、これまた救世主の如く、人の世に降り立った人物がいた。人と天使の間に産まれた勇者、カイバーンである。

 人の身にありながら天使の力を持つカイバーンは、聖剣ロスロリエンを手に、混沌とした世界に希望の火を灯した。膝をついていた者は立ち上がり、嘆いていた者たちは手と手を取り合って勇気を出し合い、魔族の侵攻を打ち負かした。

そうして今、長きに渡る人族と魔族の抗争は、最終局面を迎えている。

「魔王アリギュラ!! 私は今日、お前という災厄から世界を取り戻す!!」

 魔界の西奥、滅びの山の麓に立つ魔王城にて、勇者カイバーンは聖剣ロスロリエンをまっすぐに空に向ける。