立ち入り禁止の札がついたロープの下をくぐって、薄暗い森の中に入る


鬱蒼と生い茂る草木


そんな中
森の奥へ奥へと伸びる一本の獣道


辿るようにそこを歩いていく



薄暗かった周りの景色は段々と明るく変わって、気づけば木漏れ日が降り注ぐ竹林の中を歩いていた

立ち止まってきょろきょろあたりを見渡し


「!」


目的の後ろ姿を見つけて、駆け出す


大きな大きな岩の上に
大きな大きな犬のような生き物が鎮座している

岩をよじ登って
ぼふりとその体に飛び付いた


お日様の匂い


ふわふわ、もふもふのあったかい感触に目を細める


「来たのか」


気配にはとっくに気づいていただろうに
さも今気づいたかのように、こちらに顔を向ける


「来た」

「…今日は随分貰ってきたな」


じっと私を見つめて
それからふさふさの尻尾を持ち上げて
それを私の体に巻き付ける


「寝てろ」


撫でるように尻尾が動いて
重苦しかった体がふっと軽くなっていく


応じる前に私はまぶたを閉じていた