それは私、立花梨華(たちばな りか)が高校三年生に進級したばかりのある日の出来事。


夕食を食べ終えたあとダイニングテーブルにて、お父さんが突然声をかけてきた。


「梨華、おめでとう! ついに決まったぞ!」


「えっ?」


いつになく機嫌よさそうにニコニコした様子のお父さんを見て、頭にクエスチョンマークが浮かぶ。


「決まったって、なんのこと?」


私が問いかけると、お父さんは満面の笑みを浮かべながらこう言った。


「お前の婚約者が決まったんだよ。しかも相手はかなりいいところの御曹司だぞ。これでもう将来は安心だな。お父さんも安心だ」


「へっ!?」