窓が開けられた1年A組の教室には心地よい風が入ってきていた。


そんな教室の中央に、あたし、飯田ミキコ(イイダ ミキコ)はいた。


「あなたの後ろに幽霊がいるよ」


1人のクラスメートを指さして言うと、さされた女子生徒は真っ青になって「キャア!」と叫んだ。


あたしを取り囲んでいた他の子たちも一斉に青ざめ「本当に!?」と、興味津々で聞いてくる。


あたしは胸を反り「本当だよ!」と、答えた。


「あたしには霊感があるって言ったじゃん」


自身満々にそう言うと、一番近くにいた神吉ノドカ(カミヨシ ノドカ)が目を輝かせてあたしを見つめた。


「すごいね! あたし、怖いものとか大好き!」


ノドカはそう言うと、あたしにもっともっとと催促してくる。


そんなノドカに反応してあたしはジックリと教室の中を見回した。


そこはごく普通の教室で、前方には黒板。


後方にはごみ箱とロッカーが設置されている。


特にかわったところはなかった。