いつものように自分の執務室で仕事をしていた時でした。
「ラファが、落ちてきた娘を拾った!」
 いきなりドアが開けられ遠慮なく入ってきたのは、この国の武将(要するに軍事担当)であり幼馴染みのバーガンディー。まったく、こいつはいくつになっても騒がしい。
「人が静かに仕事しているのを邪魔するの、やめてくれないかな」
 ドカッとソファに座り込んだバーガンディーを冷ややかな目で見るけれど、全然通じている気配がありませんね。
「いやいや、そんなことよりラファだよ」
「ラファがなんですって?」
「だから〜。落ちてきた娘を拾って、城に住まわせるって」
「は?」
 唐突すぎてバーガンディーの言ってることがよくわかりません。
 ラファというのは竜王ラファエルの愛称なのですが、そのラファが、落ちてきた娘を拾ったって? 
「いや〜、俺も気付いてたんだけどさ? 空からなにか落ちてくるな〜って。そしたら、ラファが執務室からいきなり飛び出して行ったんだよね。さすがの素早さだったよ」
 楽しそうに話すバーガンディーの言うことから察するに、その娘は本当に空から落ちてきて、それをラファが見つけて助けたということですか。竜人族は飛べる者もいますから、それが何かの事情で竜王城内に落ちてきたということでしょうか。