セミの鳴き声が暑さを余計に感じさせ額に汗を残す。
まるでアイスを食べた時の、ロボットのごとく、
吐息が冷たい、不思議な感覚。


グラスに入った飲み物が、カランカランと涼しげな音と共にお盆に乗ってやってきた。


もちろん一人でに歩ってきたわけではない。
Tシャツの袖を更にまくりながら、
暑い暑いと扇風機の前に座る彼は今日も、
どうしようもない私に手を焼いている。


『扇風機の前に座ったら、風こないじゃん。』


『だって暑いんだもん。』


扇風機へ、あー、と声を出しているのを見ると、子供みたいなところもあるんだと笑みがこぼれる。


麦茶を飲みながら、私の隣に腰を下ろし、そっと脈を測る。


『心臓に悪い。』


『私の?』


『いや、俺の。』