「こうくん、起きてっ……!」
「……んー……」
「遅刻しちゃうよーっ……!」
「……ん」
短く返事をしたこうくんは、眠そうにのそりのそりと身体を起こした。
そのまま私の腕を引っ張って、抱き寄せてくる。
――ぎゅうっ。
「10秒……だけ」
うっ……ま、また……?
いつの間にか、恒例になっている。
お試しで付き合い始めてから早半月。
毎朝10秒間、こうくんに抱きしめられるようになった。
最初の頃は少し抵抗していたものの、今はもうおとなしくしている。
理由は、いつもはクールなのに朝だけ甘えてくるこうくんが、なんだか可愛いっていうのと……。
……嫌じゃないと思っている自分がいるから。