「おかえりなさいませ、真柊様」

「氷雨は上にいる?」

「奥でお待ちです。お呼びいたしますか?」

「あ、いいヨ。ボクが行く」

「かしこまりました。何かありましたらコールをお願い致します」

「うん、いつもアリガトウ」



外の入り口に立つ監視門番のような方が一礼すると

マッシュは慣れたように軽やかに手を振った。


機械的な音をたてて自動扉が開く。足を踏み入れたそこは、立派なホテルのフロントみたいで。豪華で落ち着きある空間だった。



「シュリー、こっち。ブレスレットは氷雨が預かってくれてる」

「…氷雨って、あのオールバックの…」

「あはっ、口は悪いけど怖くないから安心してネ?」



関係者専用と書かれたドアノブを捻り、わたしを手招きしたマッシュについて行く。

一歩踏み出した瞬間、ほの暗い光をそのまま目で見てしまい、反射的にぎゅっと目を瞑った。



「…真柊、ぶっ飛ばす」