無理やり目線を外し、明るい口調で言ってキッチンに向かう。


「まいったな」


うしろで隼がぽつりと呟くのが聞こえた。

その言葉の意味を瞬時に探ろうと脳内が忙しなく動きだす。
もしかしたら隼に対する優莉の気持ちがバレてしまったのかもしれない。ひと回りも年下の優莉を好きにさせたことに困り、〝まいった〟なのではないか。

きっとそうだ。そうに違いない。

そう考えるほどに胸がチクチクと痛みだす。
唇を噛みしめ、勢いよく出した水で簡単な汚れを落としてから食洗器に次々と入れていった。