「ヤバイ!一条三兄弟が食堂にいるって!早く見にいこうよー!!」

ざわざわと騒がしい昼休み。女子生徒のひと言でみんなが食堂へと大移動する中、私は静かに教室で昼食を食べていた。


「すごい人気だね」

私と向かい合ってご飯を食べているこの子は親友の飯田景子(いいだけいこ)。あだ名は景ちゃん。

景ちゃんは中庭を全力疾走している女子たちを窓から眺めながら、卵焼きを口に入れていた。


――新学期がはじまって3日目。

まだお祭りごとのような雰囲気は続いていて、それは学校内に限らず街でもちょっとした騒ぎになっている。

理由は、女子たちがこぞって見に行った先にいる一条三兄弟だ。

彼らはつい最近この街に引っ越してきた。


なんと言っても注目されているのは、芸能人顔負けのルックスだ。

学校でも整った顔の人はいるけれど、彼らほどじゃない。

おまけに身長も高くて、キラキラと輝くイケメンのオーラは遠くからでも分かるほどだ。

それがひとりではなく三人も揃っていて、しかもうちの学校に在籍しているとなれば、女子たちはもう授業どころではない。

すでにファンクラブも作られているそうで、みんなで一条三兄弟のことを追いかけている光景が今では日課になりつつある。