花莉side



4月1日の朝



「今日は京子と明日葉と3人で美容院行ってくるね」



隣に座る詩優にそう言った。
詩優は私と目を合わせてから、髪へと手を伸ばして。



手で掬って、耳にかける。



「短くすんの?」



そう聞いてくる詩優はなんだか少し寂しそうに見える
…気がする。



も、もしかして詩優は、長い髪の方が好きなのだろうか。
前に一度、詩優に『長いのと短いの、どっちが好き?』と聞いたことがあったが、その答えは聞かないまま話は終わってしまったことがある。



あの時にちゃんと聞いておくべきだった。
…でも別に、今聞いてもいいよね?



「詩優は…髪長いのと短いのどっちが好き?」



そう聞いてみると、詩優は「うーん」と悩む。
ドキドキしながら答えを待つと、



「長くても短くても、花莉はどっちでも絶対似合うよな」



また私の髪を手で掬って、今度は指にくるくると巻き付けて遊びだす。