「此処から出して…!!」


黒髪の少女は叫ぶ。

しかしその言葉が届くことはない。

何故なら彼女は奴隷民族。

だれも助けてはくれないのだ。

しかし、地獄だと思っていた人生に

少女は初めて光を見た。






















ガッシャーン!!

ガラスの割れる音がして警報が鳴った。

そして誰か言う。


「彼岸狐だ!!」


彼岸狐…それは5人の暴力集団、怪盗集団とされている集団。

しかし彼らが来たと言うことは此処はもうじき警察に見つかるだろう。

観客の人々は我先にと逃げ出した。

檻の中の少女を残して。

暫くの間ずっと爆発音などが聞こえた。


そして、沈黙の時間が響いた。

何が起きたのだろう。

さっきまでいた人達はどうなったのだろう。

少女はそんな事を考えながら外を眺めていた。

すると奥の方から人影が現れた。

狐の面をつけている。

彼岸狐だ。

彼はゆっくりと少女に近づく。

紫と黒の狐のお面。

彼岸狐のお面は一人一人色が違うらしい。

マントを羽織っていて体格はよく分からない。


「ねぇ君大丈夫?」


男の声だった。

優しい声音で少女に話しかける。

少女はただ一言。


「助けて」


涙目で狐に助けを求めた。

しかし狐は断る。


「悪いけどそれは無理だ。知っての通り俺らは彼岸狐。世の中の悪い集団なんだよ。」


「…ううん違うの。私が言ってるのは私を殺して欲しいの。」


それを聞くと狐は諦めたように頷くと


「ついておいで」


とだけ言った。