放課後、 
いつものように下駄箱で 
朝歌を待っていると、

ジャージ姿の一ノ瀬くんが 
通りかかった。

部活に向かう一ノ瀬くんは、
凛としてカッコいいけれど、

ピリピリとした緊張感が漂っていて、
少し話しかけにくい。


そんなことを思いながら、

ぼんやりと
通り過ぎて行く一ノ瀬くんを
見送っていると、


一ノ瀬君がくるりと振りかえり、
こっちに向かって歩いてきた。


忘れ物でもしたのかな、
と思っていると

一ノ瀬くんが私の前で
ピタリと足を止めた。


「?」


きょとんと
背の高い一ノ瀬くんを見上げる。