紫苑side


緑谷が怪我してしまった。命に別状はないものの、結構な重症だ。


総長の俺の責任。


今日の戦闘には勝てた。負ける気はしていなかったけど、少しの油断が仲間の怪我に繋がる。


次からは気をつけなければ。


今日は妙にどっと疲れて、今すぐつばきの顔が見たかった。


とりあえず車に寄ろう。


緑谷に申し訳なくて溜息をつきながら歩く。


見慣れた車をコンコンとノックすると運転手──池田と目が合った。


自動的に開くドア。それを待ちきれなくて手動でドアを開けた。


「へ?」


すーすーと小さく息をしながら眠る天使を発見して間抜けな声を出す。


ん?なんだこの可愛い生き物は。


俺を尊死させる気か。なるほど。


パシャリ、と1枚だけ写真を撮ってつばきに手を伸ばした。


夜梨に「きも」って言われていたことは気付かないふりをしよう。


「つばき」


「んー」


車内を器用に使って寝返りを打つつばき。


動画を取っておけばよかったと今更後悔をする。


あんなに可愛く寝返りをする子はきっと宇宙でつばきだけだと思う。


「終わったよ」


つばきはつぶっていた目を徐々に開いていって、俺の姿を捉えた。