その日の夜。



「紗和ー、お風呂できたよー」

「……、」

「紗和ちゃんやっ」

「ぅ、わっ!ごめん伊織っなに?」



明日からお休みだ。今日も帰ったら普通に伊織がいた。

ふたりで夜ご飯を食べて、何気ないことで笑い合って。

今はお風呂を待ちながらゆっくりしていたのだけれど――…。



「…紗和」

「ん…?」

「――…キスしたい」



…どうやら、スイッチを入れてしまったらしい。