◇ その日の夜。 「紗和ー、お風呂できたよー」 「……、」 「紗和ちゃんやっ」 「ぅ、わっ!ごめん伊織っなに?」 明日からお休みだ。今日も帰ったら普通に伊織がいた。 ふたりで夜ご飯を食べて、何気ないことで笑い合って。 今はお風呂を待ちながらゆっくりしていたのだけれど――…。 「…紗和」 「ん…?」 「――…キスしたい」 …どうやら、スイッチを入れてしまったらしい。