「あー。早くなんないかなー、夏休み」


高2に進級してから1か月しかたっていない、初夏の昼さがり。


教室の私の席で頬杖をつきながら、つまらなさそうな顔をする蛭間 響子(ひるま きょうこ)。


私、山本 光(やまもと ひかり)の友人のひとりだ。


「まだ5月だよ。夏休みはまだまだ2か月も先だもん」


そう言うのは、響子と同じく、私の友人のひとり、霜田 棗(しもだ なつめ)。


ふたりは、友達ではない人にきつい言葉を浴びせることが多い。


それでも私は、響子と棗がなにをしても、見守るだけ。