ーーあれから、俺の世界は180度変わってしまった。



「ひめ、おはよう」

「……?」


朝、学校の校門で俺はひめが登校してくるのを待ち伏せしていた。

にこやかに微笑んで彼女に挨拶をしているのに、彼女は俺が誰に向かって話しかけてるのかわかっていない様子だ。

こうして名前を呼んで、目の前に立ちはだかってまで、挨拶をしてるというのに。


「おはよう、ひめ。教室まで一緒に行こうか」


なんて言うと、爽やかな朝に見合わないほどのしかめっ面を俺に向けている。

けど、そんな表情にすら、俺の心臓はドキドキと速度を上げて高鳴っている。


「……急になに? なんか企んでるでしょ」

「企むなんて心外だな。俺はひめともっと話しがしたいと思ったんだ」

「急になれなれしすぎない? 怖いし。ってか一人で登校しなよ、あんたといると目立って仕方がないからヤダ」


なかなかはっきりと物を言う。けど、そんなひめが俺は好きだと思う。

俺に媚びてくるような、そんな女子じゃないひめでいい……今のところはだけど。