「えええ?!あの会長と同居?!」
「ら、蘭ったら、声が大きいよ」
朝。
昨日の出来事を、逐一に蘭に伝えるとこの反応。
いつもクールビューティの蘭さんでさえこれなんだから。
改めて、わたしに起きた出来事が稀だということを思い知る。
「ご、ごめん。…って、それ本当なの?」
「蘭…。近いよ」
興奮しすぎて、顔が近すぎるという事態。
もはや怖いし、美人なお顔が台なしになってるよ?
「そんなのいいから。
…で、どうなの?」
食いつき気味に、そういう蘭。
どうって…。
昨日の出来事を振り返ってみる。
あのあと、他愛のない話をしていたら、満月が見えて。
ふたりで窓から身を乗り出して眺めていた。
隣にいるのが違和感なくて、居心地よくて……。
「楽しい、かな」
率直にそんな言葉が出てきた。