「翼くん、今日の夜ご飯は何が良いですか?」
その日の夜。
ママが「いっそ花嫁修行しちゃいなさい!」と言いはじめたことで、平日はわたしが食事を作ることになったために、キッチンに立つ。
ハルさんやシェフは心配の色を隠しきれていなかったけれど、説得したら渋々頷いてくれたんだ。
ということで、まず翼くんの好きな食べ物を調査!
なにを作ろうか迷うなぁ。
これから半年間、一緒に住むんだから、それくらい知っとかないとね。
「…オムライス」
ん?
「オムライス…って聞こえたんですけど、わたし、聞き間違えましたか?」
「合ってるから」
即答されたけど、なんだか意外すぎて目を丸くする。
「どうせ、意外とか思ってるんだろ」
そんなわたしの様子で分かる翼くんは勘が良いのかもしれない。