2009年の冬、大阪の小さな町に

ある11歳の少女がいた。

少女の名前は藍美。

藍美はクローン病という

病気で入院したばかり。

お父さんとお母さんが

主治医に呼ばれて

話をしに行った。

話から帰ってくると

お父さんもお母さんも顔が暗い。

そんなある日、

藍美は体調が少し落ち着いたので

廊下に出ようとすると

廊下でお母さんが1人

泣いてるのを見た。

「私のせいで藍美が…」と。

藍美は主治医から

自分の病気が

合併症が出ない限り死なない事、

だけど今の医学では

病気が治らない事、

病気は遺伝子からの可能性があり、

その遺伝子はお母さんからきている事を

分かりやすく説明してもらっていたので

理解していた。

1人で泣いているお母さんを見て

いつも、笑顔がいっぱいで

強いと思っていたお母さんの

背中はとてつもなく弱く小さく見えた。

自分の病気のせいで

お母さんはお母さん自身を責めていて

近寄っていいかも分からなかったので

どうすればお母さんが

笑顔になるのかを考えた。