「…菜摘、思い出した?」
さっきの大声が嘘みたいに、優しく、いつもの俊くんの声が、尋ねる。
私は、無言のまま、首を横に振った。
…だって、信じたくなかった。
だけど、俊くんは、ゆっくりと言葉を選ぶよう真実を告げる。
「将来の約束をしたのは…」
入院中、私を支えてくれてたのは…
毎日、顔を合わせて笑ってたのは…
星空の下に、私を連れていってくれたのは…
【 元気になったら、一緒に暮らそう。】
そう、言ってくれたのが……
「俺じゃないよ。」
俊くんじゃないなんて。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…