「…菜摘、思い出した?」


さっきの大声が嘘みたいに、優しく、いつもの俊くんの声が、尋ねる。

私は、無言のまま、首を横に振った。


…だって、信じたくなかった。


だけど、俊くんは、ゆっくりと言葉を選ぶよう真実を告げる。


「将来の約束をしたのは…」


入院中、私を支えてくれてたのは…

毎日、顔を合わせて笑ってたのは…

星空の下に、私を連れていってくれたのは…

【 元気になったら、一緒に暮らそう。】

そう、言ってくれたのが……


「俺じゃないよ。」


俊くんじゃないなんて。