大翔は、抱き付いて離れようとしない私の頭を優しく撫でた。


「…菜摘?」

「うん…?」


「辛くなったらさ、未来を考えるようにしよ。」

「…未来?」


「そう。僕は、菜摘との未来を考えてる。2人とも健康で、今までにできなかったこと、全部当たり前にやっちゃう暮らし。」


私は、その言葉に、顔を上げた。

目の前には、初めて会ったときのように優しい笑顔を向けた大翔がいる。


「絶対だよ?約束」

「うん、約束。」


言葉を交わしてから、大翔は何かを思い出したように、ポケットに手を入れた。