『特別学級』開始から二週間。

当初四十人いた生徒は残り二十八人。生き残ったクラスメートたちも目に見えて生気を失っていた。

『授業』の内容は、奇妙かつ非人道的なものばかりだった。

力ずくで近くの生徒を席から落とし合う『デスマッチ』。

並みの小学生では半分も分からない難問を延々と解かされる『マラソン』。

先生に次々と人格攻撃され、歯向かえば即座に『おしおき』を受ける『ジャッジメント』。

どれも精神的苦痛を与えることを目的としたものばかりで、国語や算数などの普通の授業はおまけ程度。

『ペインター』先生の指示に逆らえば容赦なく電流が流れるし、恐怖で椅子から三分以上離れた者は全身を武装した『警備員』たちに連行され二度と戻って来ない。

そんな環境下において何より辛いのは、授業がほぼ児童虐待と変わらないことだけではない。

それは、いつ『おしおき』が発動するか分からない電気椅子に『自分の意思』で座り続けなくてはならないことだった。

いっそ、椅子に拘束してくれた方がまだマシだと思った生徒も少なくない。

肝心の『おしおき』の発動条件も不合理だった。

大抵は先生の指示に逆らったり、課題を達成出来ないと『おしおき』される。

だが初日の秋人の様にただ先生と話しただけで理由もなく『おしおき』が行使されることもあった。

かと思えば他者への陰口、居眠り、カンニング……など、明らかな反社会的行為が見逃される場合もある。

寧ろ、それに対して異議を唱えた生徒が『おしおき』をされる始末。それほどに『ペインター』先生の指導は暴虐を極めていた。

特に彼女は秋人に対して非常に厳しく、何かと難癖を付けては親の仇の様に『おしおき』を繰り返す。

だが、本人は懲りる気配もなく……すぐに立ち直って能天気な発言をしては先生の逆鱗に触れる、という毎日を送るのだった。