「―あ、黎祥ー、洗濯物を取り込んでくれる?」


「分かった」


共同生活、数ヶ月。


手負いの獣は従順な獣と化し、なんとか上手くいってます。


「この布は?」


「巻いて、棚に仕舞っておくの。傷を巻く時に使うのよ。今日は患者もいないし、ゆっくり出来そうね」


燦々と降り注ぐ、太陽の光。


今日は洗濯物がよく乾きそうな日和である。


「長かった雨の季節も終わって、そろそろ、地のぬかるみも収まっているころかな」


大体、これぐらいの月日を予想して取ってきたのだが……そろそろ、薬草が切れそうなのである。


「天気がいいのと、地のぬかるみに何か関係があるのか?」


不思議そうな黎祥に、翠蓮はうん、と、頷く。


「ぬかるんでたら、山を登れないでしょう?いつ、雨に降られるか、分からないし……薬草を取りに行くには、これくらい晴れてもらわないと」


「そういえば、傷薬を作る薬草が切れかけてたな……」


ここにいる日数が長くなれば、長くなるほど……元々、頭が良いらしい黎祥は、次々と学んでいった。


最初は洗濯物を干したりとかだったんだけど……段々、薬を作ったりとか、まるで、翠蓮の助手みたいなことを行い始めたのである。


「板ついてきたねー。こき、使いすぎた?」


「いや……やることがあると、とても助かるよ」


「そ?なら、いいけど」


そうと決めたら、早速、準備だ!と、翠蓮が張り切る横で、うろうろとし始めた黎祥。


「……どした?」


「それ、私もついて行ってもいいのか?」


不思議に思って尋ねると、首をかしげた黎祥。