新しいクラスになって早くも、1ヶ月。


クラスでのグループもできかけた頃、先生達の都合での金曜午前授業の日。
部活も無い今日は、高校生にとって格好の遊び日和。


クラスメイトたちは、みんな楽しそうに足早に下校して行った。

そんなガランとした教室で私は現在、今日の日直日誌を書いている。


窓の外にはすっかり緑に覆われた葉桜が、日差しに晒され風に揺られて心地よさそうだった。

「ついてない…」

そう呟きながら、何とか日誌を書き上げた。

すると、そんな私の机の前に人が立つ。
影が出来て、私が顔を上げるとそこには、クラスで人気の子犬系男子の谷村(たにむら)が居る。
彼はニコッと笑うと、声をかけてきた。

「書き終わった?」

「なんとかね!これ出してもう帰るわ」


そう言って机の脇に掛けてたカバンを取り、日誌を持って立ち上がる。


「そっか、お疲れ様。じゃあ、一緒に帰ろう?僕と放課後デートしてよ?」

耳に入ってきた予想外の言葉に、私は驚く。

「はぁ?!」

そして実に可愛げの無い声が飛び出していた。