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ふわふわと、優しい手が頭をすべっていく。


前髪をなで、横の髪をすくい、するりとその手からこぼれ落ちていく。


肌に感じるなめらかな布の肌ざわりにもっとさわりたいと頬を寄せれば。


「っ……」


誰かの息を呑むような声が聞こえて、ゆっくり目を開ける。


「んん……ここ、は……」


見慣れた高い天井……ではなく、見えた先にあるのはキラキラと宝石のように輝くものと。


真っ暗な中で浮かぶ、ほんのりとした明るさのあるまんまるの円。



「お目覚めになられましたか」


「黒木、さん……?」


なんか、辺りが暗くてよく見えない……

瞬きを繰り返していると、それに気づいたのか、キャンドルを持ってきた黒木さん。


「ここは………」


起き上がろうとすると、慌てて黒木さんが背中を支えて起こしてくれる。


「もう起きられて、大丈夫でございますか」


「はい……というより、私帰ってきてどうしたんでしたっけ?」


やっと目が慣れてきて辺りを見渡せるようになった頃、はたと気づく。


あれ?もしかして私……


頭も冴えてきて、一気に覚醒した瞬間。


意識が落ちる前のことを思い出し、かーっと頬が熱くなる。


「す、すみませんでした!!」


「えっ!?」


ふっかふかのベッドから起き上がって、素早く頭を下げた。


珍しく黒木さんの驚く声が聞こえたけど、私は気にとめなかった。