待ちに待った夏休みに突入し、毎日汗だくになって暑さをやり過ごしながら、松野神社のお祭りの日を指折り数えてはにやけてしまっていた。
お祭りの日は日曜日なので、仕事が休みのお母さんに浴衣を着せてもらうことになっている。
今年はお父さんにおねだりして新しい浴衣を買ってもらったんだ。紫色の生地に白い花が描かれたシンプルで大人っぽい浴衣。帯には蝶々柄の綺麗なラメが入っていて、すごく気に入っている。
着るのが楽しみだな。
水野君にも早く会いたい。夏休みに入ってから、会えなくなってさみしいと思っている私がいる。
毎日なにをしてるのかな。思えば、水野君のことってなにも知らないや。
どんなところに住んでいて、誰と暮らしているのか、サッカーが上手だけど中学の時にやっていたのか、私に似てる親友がいるって言ってたけど、どんなところが似てるんだろう。
もっと詳しく聞けばよかった。なんて、今さら後悔。
どうしてこんな気持ちになるのかは、もう薄々感じ始めている。
ううん、最初からわかっていた。ただ認めたくないだけだった。
水野君のことが——好きなんだって。
もっと水野君のことが知りたい。色んな顔が見てみたい。
もっともっと、色んな姿をさらけ出してほしい。そう思うのは、水野君のことが好きだから。