小春ちゃんの家にあった車は黒いベンツだった。


それを見た瞬間あたしはまた唖然としてしまった。


しかし、黒光りしている車の運転席から出て来たのは人の良さそうな男性で、ニッコリとほほ笑むと目元にシワができていた。


名前は近藤さんというのだそうだ。


あたしは小春ちゃんと2人で後部座席に座った。


車内はとても広く、テレビ用のモニターがいくつもついている。


ドリンクも冷えていて、まるでホテルの一室みたいだ。


「小春ちゃんの家はやっぱりなにもかもスケールが違うね」


感心してそう言うと、小春ちゃんは苦笑いを浮かべた。


「別にあたしがすごいワケじゃないから」


そう言って頭をかいた。


その左腕に青アザができているが見えて「これ、どうしたの?」と聞いた。