季節は変わって春。



最近は弟光の入学式があった以外に、特に目立つ事のない日々が続いている。



私時澄優は、そう思いながら縁側で仰向けになっていた。



今は昼食後から少し立った頃。

さっきまで昼の眠気に負けて寝ていた。



「っ〜」

伸びをする。



しばらく続けた後。



ストンッ、と身体から力を抜く。



そのまま仰向けからうつ伏せになって肘を立てて寝そべる。



ーー。



人気はなく、聞こえるのは風の吹く音。



家時澄家は、尋常じゃなく広い。

大きいじゃない。広い。



庭も広いし屋敷も広い。

お風呂も広いし一部屋一部屋が広い。



勿論この縁側も広い。



そんな事を思ってる中、何とも言えない感覚がした気がした。



「…」



気のせいか。

そう思った時。



ーリリリリリリー



電話が鳴った。



正確には携帯か。

まぁどうでもいい。



近くに置いていたスマホを取ってロックを外し、電話を取る。

誰が掛けてきたかは見なかった。



「もしもし」



『…ね…姉ちゃんっ…ゴメンッ俺…助け…ツー』



………!



一瞬で考えて、動き出した。