広いダイニングテーブルに
向かい合って座ると

何人もの人が甲斐甲斐しく世話をする

目の前に料理が並べられると
グゥとお腹が鳴った

恥ずかしくて顔を上げると
目の前でクスッと笑うのが見えた

口元が緩んだ顔を見ながら

自分の恥ずかしさを誤魔化すように
野菜が沢山入ったスープに口をつける


「美味しい」


琥珀色のスープを
夢中で平らげると

サラダ、お肉と順番に箸をつけた

時折チラリと正面を見ると
とても綺麗な箸使いに感心する

ひと皿ずつ手をつける
子供の様な食べ方の自分と比べてしまって
違う意味の恥ずかしさがこみ上げた


料理の得意じゃなかった母

我が家の食卓でにこんなに皿が並ぶことが無かったから
食事マナーなんて知らない

そんなことを考えながら
食事を終えると


「沢山食べて体力つけろ」


クスリと笑った碧斗さん


それは・・・
翻弄されて動けなくなったことを揶揄っていることが分かって

ジワリと頬に熱が集まる

口にしなくても良いことを
喋る神経を疑うけれど

周りの人達は聞こえない振りなのか
無反応で片付けている


・・・嫌だ


恥ずかし過ぎる気分は益々
耳まで真っ赤にして

結局治らないまま
来た時のように腕の中で俯いたまま寝室までもどった