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ボンヤリ目を開けると
既に碧斗さんは居なかった

壁の時計を確認すると短い針は5を指していて

でも・・・

それが明け方ではないと気づいたのは
カーテンから漏れるオレンジ色から



既に卒業式も終わった夕暮れ


一生に一度の高校の卒業式に出られなかったことより
何故か心の隅っこはホッとしていた


式の後のお喋りは
きっと進学先の話

クラスメイトの顔を思い浮かべて身震いする

進学するのだと嘘を並べるつもりの
頭の中の台本を一瞬で消して現実に戻る


全身の倦怠感が昨夜の行為を思い出し赤面する

起きてはいるものの
身体を動かす事すら出来ない

ただ・・・

大きなベッドに1人で寝ていることが救いだった


「ハァ」


誰に聞かせる訳でもなく
態と吐き出したため息と
全く力の入らない足


夫婦の寝室だと聞いたけれど
安心感の欠片もない

汚してしまったであろうシーツを背中に感じながら

自分の置かれた状況に涙が溢れ出した


時間をかけて起き上がると
フラつきながら
トイレに駆け込み鍵を閉めた

両親の離婚と借金と・・・
それを被るしか出来なかった自分

恨めしい気分にため息しか出てこなかった