放課後。

大体よからぬ話しかされていない事に定評のある学園長室に、蛮は連れて来られていた。

碇ゲ〇ドウよろしく、白い手袋の両手を顔の前で組むヴラド。

「ではもう一度お聞きします。貴方は魔道協会の指示で、極東に存在する女吸血鬼…即ちルナ・ツェペリを討伐すべく天神地区にやって来た。協会の会長バルトメロイ・グレゴリオ曰く、一般社会で異端が暗躍すれば討伐されるが、『正義や道徳』ではなく、『神秘の漏洩』を防ぐのが目的。その点において、天神学園とその地区は、最も危険な区域である…と」

「その通りだ」

秘書の花龍の言葉に、蛮は頷いた。

「下らん」

ヴラドは吐き捨てる。

「バルトメロイ・グレゴリオ…まだ真祖になりたての頃に、何度か相まみえた事がある。昔から狂気じみた独自の思想で人外を追い回すイカレた魔術師だったが…そうか、会長か。ご立派になられたものだ。魔術で寿命さえ狂わせ、まだ生き永らえているか」

「神秘の漏洩は、何も知らない一般人を混乱と混沌に導く!会長のお考えは、間違ってない!」

ヴラド相手に、臆する事なく力説する蛮。

未熟者だが、その信念は大したものだ。

が。

「そんな事は別にどうでもいい」

天神学園と魔術協会の対立問題を、ヴラドどうでもいい発言。

「問題は」

その口角がつり上がる。

「ウチの娘を倒して僕も死ぬ、などと抜かしたそうだな貴様…剣山に串刺しにして生け花にするぞヒューマン」

やっぱりそっちが最優先ですか…。