「大体、君を倒して僕も死ぬ、なんて言うもんじゃねぇよ」

対峙したまま、龍一郎は言う。

「世の中何が起きるか分からんぜ?生きてりゃ、ルナがお前に惚れる事だってあるかもしれん」

「ないない…」

ルナ、即否定しない。

「…憐れみか?ルナに認められた彼氏としての余裕か?」

キッと龍一郎を睨む蛮。

「いやいや、そういうんじゃなくてよ…」

「問答無用!」

蛮は、今度は龍一郎に襲いかかった!

十字架を振り回し、薙ぎ払おうとする蛮。

人間の龍一郎に銀製の十字架は只の鈍器でしかないが、当たれば痛い事は間違いない。

大振りの打撃を、右に左に回避する。

(遅ぇ…)

龍一郎は心の中で呟く。

蛮の打撃が、ではない。

自身の回避行動が、遅かった。