「ねぇ〜!」



通学路が夕日の光りでオレンジ色に染まり始める頃、ふと視線を下にさげれば並んで歩くあたしたちの影が仲良さげに映っている。


でも、仲が良さそうに見えるのは影だけで…実際はというと…



「……」


「ねぇ!無視!?」



全く、仲良くありません。
そんなつれない彼はあたしの彼氏の創真(そうま)


思わず顔を上げて彼を見ると今日もまた笑顔一つ見せずに無表情を保っている。


付き合って半年が経つのに全くあたしに興味を示してくれない。


無愛想で何を考えてるのかさっぱり分からないし、実際あたしのことが好きなのかもわからない。


愛情表現も滅多にしてくれないし……。



「…うるさい。あんた口開くとうるさいから黙ってて」



それに加えて、名前ですら呼んでくれないんだよ。
いつも“あんた”呼ばわりで…ほんとムカつく。
まず、あたしの名前覚えてくれてるのかな?ってレベルだ。


女心ってもんをちっとも分かってないし、分かろうともしない。