そんな事を思っていると





「ねえ、きみ名前は?」





その王子様から優しく聞かれた






「一ノ瀬…葵です…」





なんだか恥ずかしくなって途切れ途切れに喋ってしまった







だって私こんなイケメン面識ないんだもん!








ふーんと言う彼の顔が一瞬ニヤッとしたように思えた






ん…?なに今の?





私の見間違いかな?






「一ノ瀬葵ちゃんか」






可愛い名前だねと優しい顔をして言う彼に
不覚にもドキッとしてしまった






「あはは…」





やっぱりさっきのは見間違いだったのね







緊張しすぎて私は笑う事しか出来なかった









「ところで…」






彼のその言葉に私は彼を見る







「君は何をしてたのかな?」








さっきとは違う…
ニヤリと笑った顔でこちらを見る






なに…?





ゾクッと鳥肌がたった





この人はさっきの王子様と同じ人物?








じりじりと近寄ってくる彼に私は後ずさりした









"危険"

本能がとっさにそう悟ったからだ







一度彼と目を合わせてしまえば逸らすことはできない…


いや、させてくれない。
そんな雰囲気を持っている